アンドロメダドリームファンタジー

第5章 『地球にて』

何とか反乱軍の攻撃をかわして地球に逃れた アンドロメダ銀河 皇国 の宇宙 船団は、かねてから交流があり、地下に秘密基地を建設していた現在の日本国の上空に達した。
宇宙船から日本国の国土を見たユアサミヨ皇帝はその美しさに驚き、
「我がアンドロメダ銀河皇国の在るアメノホアカリダマに勝るとも劣らない美しさである」
と呟いたほどであった。皇帝と行動をともにして遥か彼方のアンドロメダからこの地球までやってきた臣下のものや皇国民たちも、遠く離れてしまった自らの故郷を想いをはせ、静かに涙した。
しかし 、感傷に浸ることが出来たのはほんのつかの間であった。 ここでさらに クーデター 軍の 追撃隊が襲ってきたのである 。 クーデター軍は皇国を裏切った第3皇女、第5皇子を攻撃隊に参加させ、皇国船団に猛烈な攻撃を加えてきた。
アンドロメダ 銀河 を離れた時は数百万機あった 皇国の 大船団も残り数少なくなり、とても戦える状態ではない。 船体の4分の1を失い ボロボロの状態だった母船はこの攻撃に耐えきれ るはずもなく、もはや皇国の命運は風前の灯であった。
しかも、4分の3になったとはいえ、それでも直径数百キロの母船が撃墜されるとなると、眼下に広がる美しい日本の国土をその爆発の衝撃で痛めつけてしまうことになる。
皇帝は、宇宙船団の皇子・皇女たちと宮殿内の臣下のものにその決意をテレパシーで伝えた。
「ここ日本上空で母船を消滅させます」


周囲の人間は驚いた。母船の消滅とは即ちアンドロメダ銀河皇国の皇帝の死と同義なのである。皇国民は皆、必死にユアサミヨ皇帝を説得し、クーデター軍に抵抗することを提案した。しかし、間接的に日本の国土を傷つける結果になることを皇帝は頑なに拒否したのだ。
しかし、皇国の象徴であるユアサミヨ皇帝の死は、遥かアンドロメダ銀河からついてきたアンドロメダ皇国民にとっても心の支えを無くすことになる。それを怖れたアンドロメダ・シリウス皇女をはじめとした皇子、皇女や皇帝の家臣たちはユアサミヨ皇帝から三種の神器を無理やりに奪う。そして
アンドロメダ・シリウス皇女が皇衣をその身に纏い、鉾(三叉槍)をその手に持ち、皇国の紋章を模したペンダントをその胸元につける。宮殿にて簡易的ではあるが皇位継承の儀式を執り行い、アンドロメダ・シリウスが正式に皇帝として即位したのである。
自らの子どもである皇子、皇女や家臣たちに最終的には説得されたものの、ユアサミヨ前皇帝は儀式の間、ずっと号泣していた。自分の身代わりとなり、実の娘であるアンドロメダ・シリウスが母船とともにその命の火を自ら消そうというのである。前皇帝の深い悲しみはその着衣からもうかがい知ることが出来た。皇衣を脱いだ皇帝はその下に現代で言うレオタードの様な衣服を身に纏うが、その色は着用するものの心理状態で変色するのである。喜びの時は青、怒りは赤、哀しみは紫、楽しいときには黄色、という様に。この時の前皇帝の着衣はその哀しみの強さを表すかのように、深く、
物悲しい紫色となって現れていたのである。
皇位継承の儀式の後、ユアサミヨ前皇帝をはじめとした他の皇子・皇女や家臣たちは母船内の宮殿から離れ、それぞれの担当の宇宙船へと移る。宇宙船へ乗り込んだユアサミヨは、その扉の前でうずくまりながら嗚咽を繰り返す。彼女は扉を激しく叩きながら、
「私ではなく、なぜあの子が犠牲にならなければならないのか・・・」
と絶叫した。
母船内の宮殿に一人残った新皇帝のアンドロメダ・シリウスは皇国の民がすべて母船を離れ、地球上へと降下していくのを見届けた後、踵を返して宮殿内の玉座に戻ろうとする。
しかしその刹那、アンドロメダ・シリウスは驚愕する。先の冥王星での大宇宙戦争で瀕死の重態となり、昏睡状態に陥っていたはずのニギハヤヒ皇子がそこに立っていたのだ。
「姉さん、あなたが一人犠牲になることはありません。私の命ももはや長く無いでしょう。ともに皇国と母上を守るため、戦いましょう」
そう語るニギハヤヒ皇子の手をそっと握り締め静かに涙するアンドロメダ・シリウス。気丈な彼女も、たった一人で皇国の命運を託されたことが不安だったのであろう。弟の心遣いにあふれる涙を抑
えることが出来なかった。

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